「AIや自動化が進化したら、半導体技術者の仕事ってなくなるのでは?」
そんな声を聞くことがあります。
でも実際はAIや自動化が進む今だからこそ、技術者の役割はより重要になっています。
今回は、なぜAI時代に技術者の需要が高まっているのか、そしてこれからの時代に求められるスキルとは?について、考えてみましょう。
なぜAI時代でも技術者が必要なのか?
1.AIや自動化を“使いこなす”人材が必要
AIは便利なツールですが、万能ではありません。例えば、製造装置の異常検知や歩留まり改善にAIを活用するには、適切なデータの収集・前処理・モデル設計・評価が必要です。これらは全て、現場を理解した技術者の知見がなければ成り立ちません。
また、AIが出した結果を鵜呑みにするのではなく、その背景や妥当性を判断し、改善策に落とし込む力も人間にしかできない重要な役割です。
2.技術の複雑化と専門分化が進んでいる
半導体技術は、EUVリソグラフィ、3D積層、先端パッケージング、化合物半導体など、技術の多様化と専門分化が急速に進行しています。AIが支援できるのは一部の領域に限られ、全体を俯瞰し、技術間のつながりを理解して最適解を導く人材が不可欠です。
3.工場の新設と人材不足
国内外で新しい半導体工場が次々と建設されています。これに伴い、装置の立ち上げ、プロセス開発、品質管理などの技術者が大量に必要とされています。一方で、リーマン・ショック以降の採用抑制の影響で、中堅技術者が不足しており、若手の育成と技術継承が急務になっています。
AI時代に求められる半導体技術者のスキルセット
では、AI時代において半導体技術者に求められるスキルとは、具体的にどのようなものでしょうか?以下に、5つの主要なスキル領域をご紹介します。
1.データを読み解く力
- センサーデータやログの読み解き
- PythonやRなどによるデータ分析
- 機械学習モデルの基礎理解
- AIツールの選定・運用スキル
AIや自動化が進む中で、センサーや装置から得られるデータを正しく読み取り、活用する力が求められます。特に、プロセスエンジニアや品質保証エンジニアにとって、AIによる異常検知や歩留まり分析は日常業務の一部になりつつあります。
2.システム思考と全体を見渡す視野
- 設計・製造・評価の一連の流れを理解
- 装置・材料・プロセスの相互関係を把握
- サプライチェーンやコスト構造への理解
設計、製造、品質、コスト、納期など、半導体開発には多くの要素が関わります。自分の専門だけでなく、周辺の工程や目的を理解することで、より良い判断ができるようになります。
3.コミュニケーションとファシリテーション力
- 技術的な内容をわかりやすく伝える力
- 多職種、多国籍チーム、海外拠点や顧客とのやり取り
- チームでの課題解決
AI時代の技術者には、チームでの連携や他部門との調整力も求められます。特にグローバル企業では、英語でのやり取りや異文化理解も益々重要です。
4.問題解決力と柔軟性
- 未知の課題に対する仮説構築と検証
- 設計やプロセスの革新提案
- トラブル時の迅速な原因特定と対策立案
AIは過去のデータから学ぶのは得意ですが、前例のないトラブルや新しい課題には対応できません。そんなときに頼りにされるのが、現場で考え、動ける技術者です。
5.継続的な学習とアップスキリング
- 最新技術・ツールのキャッチアップ
- 資格取得や語学学習
- 社内外の勉強会・学会への参加
技術の進化が速い今、学び続けることは必須です。新しいツールや技術に触れ、自分のスキルをアップデートし続けることが、長く活躍するための鍵になります。
まとめ:AI時代は「人間力×技術力」の時代
AIや自動化が進むことで、技術者の仕事は「作業」から「考える仕事」へとシフトしています。
技術力や専門知識に加えて、これからの時代は更に、考える力・伝える力・学ぶ力が重要になると言われています。
少しずつスキルを磨いて、強みを育てていきましょう!
以上、今回は「AI時代に求められる半導体技術者のスキル」についてまとめてみました。