シリコンサイクルって?2025年1月までのデータで解説

半導体業界における「シリコンサイクル」って聞いたことありますか?

半導体は、その需要と供給のバランスが2~3年周期で変動してきました。半導体デバイスはシリコン(Si)を材料に作られる事が多いことから、この周期的な循環は「シリコンサイクル」と呼ばれています。

シリコンサイクルは半導体売上と強く相関する

シリコンサイクルを知る指標として、全世界の半導体売上高が用いられる事が多いです。

以下はWSTS(World Semiconductor Trade Statistics)が公表した情報を元に作成した2010年1月から2025年1月までの全世界の半導体売上高(青い棒グラフ)と3ヶ月移動平均(赤い線)です。(参照元

 

SEMIくん
2018年9月(448億US$)、2022年3月(545億US$)、2024年9月(613億US$)にそれぞれ山のピークがあるね。この時は半導体の売上が好調だよ。
RIN
ピークを過ぎると減少傾向が続いて、暫くするとまた盛り返して次のピークに達してるね。このサイクルが最近は2~3年毎に来ているよ。

シリコンサイクルの仕組み

シリコンサイクルは、半導体需要の増減、技術革新、生産能力の調整、経済全体の動向などの要因によって引き起こされます。2~3年の周期で、好況期→供給過剰期→不況期→回復期→好況期→…を繰り返します。

好況期(ブーム)

  • 需要の急増
    新しい技術革新や製品(スマートフォン、PC、データセンター、AIチップなど)の登場により、半導体の需要が急激に増加します。

  • 供給不足と価格上昇
    需要が急増する一方で、工場の生産能力はすぐには増やせない為、供給が追い付かず、半導体価格が上昇します。

  • 設備投資の拡大
    半導体メーカーは増産を図るため、新しい工場建設や設備投資を積極的に行います。

供給過剰(ピーク)

  • 生産能力の増加
    半導体メーカーが新しい工場を稼働させることで、生産量が増加します。

  • 需要の鈍化
    一方で、新製品の成長が鈍化し、消費者の買い替え需要も落ち着いてくるため、需要がピークを迎えます

不況期(スランプ)

  • 供給過剰と価格下落
    生産が増えすぎた結果、半導体の供給が需要を上回り、価格が下落します。

  • 利益の減少と設備投資の抑制
    メーカーの収益が低下し、設備投資が抑制されるため、新規工場建設が遅れます。

  • 在庫調整
    余剰在庫が発生し、企業は在庫を削減するために生産を縮小します。

回復期

  • 需給バランスの回復
    半導体の在庫が消化され、徐々に需給バランスが改善します。

  • 次の技術革新の波
    5G、AI、EV(電気自動車)などの新しい技術の普及により、新たな需要が生まれ、再び好況期へと移行します。

 

SEMIくん
新しい工場や製造ラインを作るとなると、1年以上掛かるから、需要があってもそんなにすぐには供給出来ないんだね。
RIN
供給が足りない時は生産も設備投資も積極的にやるけど、それらが上手くいって足りてきたら今度は多すぎて在庫が残ってしまう…。難しいね!

シリコンサイクルと半導体売上高の関係

半導体の売上高は、シリコンサイクルの影響を大きく受け、好況期に上昇し、不況期に減少する傾向が明確に見られます。

フェーズ 半導体売上高の動向 主な要因
好況期(ブーム) 売上が急増 新技術・新製品の普及、需要の急増
供給過剰期(ピーク) 売上が横ばい or やや減少 供給が追いつき価格上昇が鈍化
不況期(スランプ) 売上が減少 供給過剰による価格下落、需要の鈍化
回復期 売上が再び増加 在庫調整の完了、新技術の導入
SEMIくん
半導体売上高の推移を参考にすると、次はいつ頃好況期や不況期が来るかの予想が付くね。
RIN
半導体関連銘柄の投資でも使えそうな情報だね!