半導体業界における「シリコンサイクル」って聞いたことありますか?
半導体は、その需要と供給のバランスが2~3年周期で変動してきました。半導体デバイスはシリコン(Si)を材料に作られる事が多いことから、この周期的な循環は「シリコンサイクル」と呼ばれています。
シリコンサイクルは半導体売上と強く相関する
シリコンサイクルを知る指標として、全世界の半導体売上高が用いられる事が多いです。
以下はWSTS(World Semiconductor Trade Statistics)が公表した情報を元に作成した2010年1月から2025年1月までの全世界の半導体売上高(青い棒グラフ)と3ヶ月移動平均(赤い線)です。(参照元)
シリコンサイクルの仕組み
シリコンサイクルは、半導体需要の増減、技術革新、生産能力の調整、経済全体の動向などの要因によって引き起こされます。2~3年の周期で、好況期→供給過剰期→不況期→回復期→好況期→…を繰り返します。
好況期(ブーム)
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需要の急増
新しい技術革新や製品(スマートフォン、PC、データセンター、AIチップなど)の登場により、半導体の需要が急激に増加します。 -
供給不足と価格上昇
需要が急増する一方で、工場の生産能力はすぐには増やせない為、供給が追い付かず、半導体価格が上昇します。 -
設備投資の拡大
半導体メーカーは増産を図るため、新しい工場建設や設備投資を積極的に行います。
供給過剰(ピーク)
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生産能力の増加
半導体メーカーが新しい工場を稼働させることで、生産量が増加します。 -
需要の鈍化
一方で、新製品の成長が鈍化し、消費者の買い替え需要も落ち着いてくるため、需要がピークを迎えます。
不況期(スランプ)
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供給過剰と価格下落
生産が増えすぎた結果、半導体の供給が需要を上回り、価格が下落します。 -
利益の減少と設備投資の抑制
メーカーの収益が低下し、設備投資が抑制されるため、新規工場建設が遅れます。 -
在庫調整
余剰在庫が発生し、企業は在庫を削減するために生産を縮小します。
回復期
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需給バランスの回復
半導体の在庫が消化され、徐々に需給バランスが改善します。 -
次の技術革新の波
5G、AI、EV(電気自動車)などの新しい技術の普及により、新たな需要が生まれ、再び好況期へと移行します。
シリコンサイクルと半導体売上高の関係
半導体の売上高は、シリコンサイクルの影響を大きく受け、好況期に上昇し、不況期に減少する傾向が明確に見られます。
フェーズ | 半導体売上高の動向 | 主な要因 |
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好況期(ブーム) | 売上が急増 | 新技術・新製品の普及、需要の急増 |
供給過剰期(ピーク) | 売上が横ばい or やや減少 | 供給が追いつき価格上昇が鈍化 |
不況期(スランプ) | 売上が減少 | 供給過剰による価格下落、需要の鈍化 |
回復期 | 売上が再び増加 | 在庫調整の完了、新技術の導入 |